書評
―長井苑子 著―間質性肺疾患の外来診療
槙野 茂樹
1
1大阪医科大学・膠原病内科
pp.652
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101063
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1988年,私は,京都大学の免疫研究所でリンパ球を表面マーカーで染色しフローサイトメトリーで測定する実験に従事していました.当時所属した研究室には自前のフローサイトメーターがなく,検査会社の器械を会社の仕事が済んだ後,好意で使用させてもらっていました.夜9時,10時になって染色したリンパ球を持って検査会社に行くと2台あるフローサイトメーターのもう1台を使って1人で黙々と測定している人がいました.それが本書の著者,長井先生でした.その頃,著者は「びまん性肺疾患研究会」で,気管支肺胞洗浄のデータの第一人者として中心的ディスカッサーであり舌鋒鋭く議論され,「凄い人だなあ」と仰ぎ見ていた方でしたが,データは自分自身で作られたものなのだと感心したのを覚えています.
その後20年,著者は間質性肺疾患の領域で私を含め多くの研究者をリードして来られました.特発性間質性肺炎の分類は最近ようやくほぼ定まり,吸入性のものや,膠原病性,薬剤によるものなどとの異同が議論できるようになってきました.
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