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はじめに
再狭窄抑制という観点においてこのステントは数々の無作為二重盲検試験によって少なくとも一般的な病変に対しての再狭窄減少効果のエビデンスが十分に認められている.日本に導入された頃にはRAVEL,SIRIUS,C-SIRIUS,E-SIRIUS1~4)など代表的な二重盲検試験が発表されており,これら臨床試験のメタ解析でも病変再血行再建率は通常の金属ステントであるベアメタルステント(以下BMS)17.1%に対しsirolimus-eluting stent(SES)(CypherTM)3.5%と劇的な減少を認めた.
最近は糖尿病,小血管,慢性完全閉塞,ステント内再狭窄に対する治療など様々な病変や患者に対する臨床試験も数多く発表され,多枝疾患や左主幹部病変に対する治療成績のバイパス手術との比較試験も行われている.日本ではその後に発売されたこともあり,BMSとの比較試験が成り立たない背景もあり,リアルワールドでのレジストリーの形で臨床成績の調査が行われた.一つは行政が主導で承認条件の一つとして行われた後述する市販後調査(Post Marketing Study;PMS)であり,もう一つは医師主導のレジストリーであるj-CYPHER Registryである.j-CYPHER Reg-istryは施設ベースでインターネット入力を行う形式で行われ,15,000例の登録が行われた.こちらはQCAが必須ではなく,クリニカルフォローアップが中心のデータである.
本稿ではPMSで得られたデータを中心に解説を行い,わが国の冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)の特徴とCypherTMステントに残された再狭窄に関する課題について考察する.ここで使用するデータは中間報告までのデータのため,最終結果と異なる可能性があることをはじめにお断りしておく.
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