Japanese
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綜説
ACAT阻害薬の展望
Prospects for Development of ACAT Inhibitors
柴崎 学
1
,
齋藤 康
1
Manabu Shibasaki
1
,
Yasushi Saito
1
1千葉大学大学院医学研究院細胞治療学
1Department of Clinical Cell Biology(F5), Graduate School of Medicine, Chiba University
pp.695-699
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100687
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はじめに
現在,高コレステロール血症や動脈硬化症の治療におけるHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)の信頼性と安全性はゆるぎないものとなっている.しかし,スタチンとは異なる作用機序により,さらに強力に動脈硬化の進展を抑制する薬剤の開発が望まれているのもまた事実である.アシルCoA:コレステロールアシル基転移酵素(acyl-coenzyme A:cholesterol acyltransferase;ACAT)阻害薬は食事由来コレステロールの吸収抑制作用に加え,末梢でのコレステロール蓄積を抑制する作用が期待されることから,約20年もの間にわたってその研究開発が続けられている.しかし,副腎毒性の出現などの理由により,これまでに多くのACAT阻害薬が開発中止となっている.ACAT阻害薬の開発は当初高脂血症治療薬という概念で進められていたが,ヒトでの脂質低下作用が期待されたものに比べ弱かったことや,開発途中でより強力な血中コレステロール抑制作用を有するスタチンが使用されるようになったことから,近年では動脈硬化巣におけるマクロファージの泡沫化を直接抑制することによる抗動脈硬化治療薬へと開発戦略を転換しつつある1).
本稿ではACATの機能,ACAT阻害薬の作用機序,現在の開発状況と今後の展望などについて概説する.
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