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はじめに
高齢化時代を迎えて,心房細動の発症率は年々高くなり,循環器専門医だけでなく,臨床医が日常の診療で心房細動に遭遇する機会が非常に多くなっている.心房細動は,その持続によって左房内血栓を形成し,塞栓症を合併することが多く,塞栓症の予防が重要な課題となっている.これまで心房細動の治療は,洞調律を回復し,維持することが原則であるものの,実際に洞調律維持とレートコントロールのどちらが有効であるのかは,確かなエビデンスもなく,明らかなコンセンサスも得られていないため,左房径や心房細動持続時間が再発のリスクとみなされて,洞調律への回復を諦めたり,たとえ初発で罹病期間の短い心房細動であっても,経験やあいまいなエビデンスによって治療が選択されてきた.
こうしたなかで,心房細動患者を洞調律維持群と心房細動のままで心拍数を抑制するレートコントロール群に無作為化して比較する大規模臨床試験AFFIRM(Atrial Fibrillation Follow-up Investigation of Rhythm Management)が約6年間にわたって行われ,今年3月にAmerican College of Cardiology(ACC)にて結果が発表された.5月にはNASPE(North American Society of Pacing and Electrophysiology)にてそのサブ解析が,また6月にはこの大規模臨床試験に参加した登録患者の特徴について,American Heart Journalに報告された1).この試験結果が,わが国の心房細動治療にどのような影響を与えるのか,この大規模試験の概要および問題点,そして日本における実際の診療と照らし合わせ,今後の心房細動治療について述べる.
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