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心不全パンデミック時代と呼ばれる現代において,心房細動(atrial fibrillation;AF)と心不全は切っても切れない関係にあることが広く知られている。AFを発症した1/3に心不全を合併,また心不全を発症した半数以上にAFを合併するとの報告から,以前Allesieらが提唱した“AF begets AF(AF自体がAFを引き起こす)”という概念にちなんで,“AF begets heart failure”さらに“vice versa(その逆も然り)”といわれている1)。そのため,心不全の治療戦略にはAFへの治療介入も視野に入れなければならない。しかしながら,AFFIRM(Atrial Fibrillation Follow-up Investigation of Rhythm Management)2),RACE(Rate Control versus Electrical Cardioversion for Persistent Atrial Fibrillation)3),そしてわが国でのJ-RHYTHM(Japanese Rhythm Management Trial for Atrial Fibrillation)4)を含めた数々の大規模臨床試験の結果から,一般にAF患者にとって,薬物による洞調律維持(リズムコントロール)と,心拍数調節(レートコントロール)の有効性は同等であるとされている。さらにAF-CHF(Atrial Fibrillation and Congestive Heart Failure)やDIAMOND(Danish Investigations of Arrhythmia and Mortality on Dofetilide)の結果から,低心機能である心不全患者を対象としても,薬物によるリズムコントロールはレートコントロールに比較して,洞調律維持効果こそあるものの,左室駆出率(left ventricular ejection fraction;LVEF)改善,心不全入院回避や予後改善効果を認めないことが報告されている5)6)。このことから,AF合併心不全患者に対しての有効な治療戦略どころか,治療介入の是非ですら明らかではない。2000年初頭より,非薬物療法による新しいリズムコントロール戦略として,カテーテルアブレーションが確立され,広く普及している。さらにAF合併心不全患者に対するアブレーションの有効性についても,近年エビデンスが構築され始めている。今回これらのエビデンスに寄与する大規模臨床試験の結果を紐解きながら,AF合併心不全患者への治療戦略という新しい課題と対峙してみたい。「KEY WORDS」心不全,心房細動,カテーテルアブレーション,リズムコントロール
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