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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
病理
胃底腺型腺癌
gastric adenocarcinoma of fundic gland type
八尾 隆史
1
,
上山 浩也
2
1順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学
2順天堂大学医学部消化器内科学
pp.741
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202898
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胃底腺型腺癌(adenocarcinoma of fundic gland type ; GA-FG)は,Ueyamaら1)が2010年に提唱した腫瘍で,「胃癌取扱い規約 第15版」2)で特殊型の一つとして新たに追加された.ただし,WHO分類第5版3)では,同じ組織像であっても粘膜内病変の場合はoxyntic gland adenomaに分類されるので,注意が必要である.
GA-FGの定義は,細胞像が胃底腺(主細胞と壁細胞)に類似した細胞から成る腺癌で,pepsinogen IやH+/K+-ATPaseが陽性であることが必須であり,頸部粘液腺〜主細胞に発現するMUC6もほとんどの症例で陽性となる1).通常,表層は非腫瘍性粘膜で覆われ,粘膜深部主体で発育し,小さい病変でも高頻度に粘膜下層に浸潤する(Fig.1)4).臨床病理学的に,胃底腺粘膜領域に発生し,脈管侵襲やリンパ節転移はまれな低異型度・低悪性度の腫瘍である.また,GA-FGはH. pylori(Helicobacter pylori)感染と関係のない胃癌であり,GNAS変異やWnt/β cateninシグナル伝達系の異常を伴い,一般型胃癌とは異なる発癌機序が想定されている5).
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