Japanese
English
増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
疾患
下部消化管
腸間膜静脈硬化症(MP)
mesenteric phlebosclerosis
朝山 直樹
1
,
永田 信二
1
1広島市立安佐市民病院消化器内科
キーワード:
線状石灰化像
,
石灰化像
,
大腸壁肥厚
,
壁硬化
,
不整
,
管腔狭小
,
拇指圧痕像
,
色調変化
,
青銅色
,
赤紫色
,
浮腫
,
狭窄
,
びらん・潰瘍
,
血管透見像の消失
Keyword:
線状石灰化像
,
石灰化像
,
大腸壁肥厚
,
壁硬化
,
不整
,
管腔狭小
,
拇指圧痕像
,
色調変化
,
青銅色
,
赤紫色
,
浮腫
,
狭窄
,
びらん・潰瘍
,
血管透見像の消失
pp.653
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202832
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- 参考文献 Reference
腸間膜静脈硬化症(mesenteric phlebosclerosis ; MP)は,大腸壁内から腸間膜静脈に膠原線維の増生や石灰化などが起こり,静脈還流障害により慢性虚血性変化を来す比較的まれな疾患である.近年,山梔子含有漢方薬の長期服用例の報告が増加している.主症状は腹痛,下痢,便秘,腹部膨満だが,無症状で画像上偶然に発見されることもある.罹患部位は回腸末端〜直腸に及ぶが,右半結腸に強い.単純X線検査では右側腹部に線状石灰化像を認め,CTでは大腸壁肥厚,腸管壁や腸間膜に一致した石灰化像を認める.注腸X線造影検査では壁硬化や不整,管腔狭小,拇指圧痕像などの所見を呈す.大腸内視鏡検査では粘膜の色調変化(青銅色,赤紫色)がみられ,浮腫や狭窄,びらん・潰瘍,血管透見像の消失などを伴う(Fig.1,2).病理組織所見では粘膜固有層の著明な膠原線維の血管周囲性沈着と静脈壁の線維性肥厚が特に重要である.膠原線維沈着と静脈壁肥厚により隆起し早期大腸癌との鑑別を要した報告例もある(Fig.3)1).なお,本症における癌の合併の実態について情報量が少ないが,現在までdysplasiaを伴う癌の報告はなく,sporadicな発生と考えられている.
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