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増刊号 消化管診断・治療手技のすべて2021
大腸
診断
注腸造影(腫瘍の診断)
Diagnosis of Colorectal Tumor Using Barium Enema
大内 彬弘
1
,
鶴田 修
2
1久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門
2聖マリア病院消化器内科
pp.714
発行日 2021年5月24日
Published Date 2021/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202424
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近年,内視鏡機器の進歩により,内視鏡検査が大腸腫瘍診断の中心となってきている.検査頻度は低下しているものの,注腸X線造影検査は病変の正確な大きさ,部位,全体像や側面像をより客観的に把握することが可能であり,内視鏡検査にはない利点を有している.早期大腸癌に対する壁深達度診断,すなわち粘膜下層深部浸潤か否かを判別することにおいては,内視鏡検査と同様に非常に有用な検査である.
大腸癌の壁深達度診断に必要なX線造影所見としては,腫瘍正面像(表面性状,大きさ),側面像(側面変形,硬化像),腫瘍周囲の所見(ひだの集中像)などが挙げられる1)(Fig.1).側面変形に関しては,その有無と程度について,①無変形,②角状変形,③弧状変形,④台形状変形の4パターンに分類され,無変形では癌は粘膜層にとどまっているか,粘膜下層にごく少量浸潤したもの,角状変形は粘膜下層への中等量の浸潤,弧状変形は粘膜下層に高度に浸潤しているか,または固有筋層に少量浸潤しているもの,そして台形状変形は固有筋層またはそれ以深に浸潤した進行癌の所見とされている2).また,粘膜下層以深浸潤癌に特異的に出現する所見として,伸展不良所見(画然とした硬化像,腫瘍周囲の透亮像,ひだの集中像)が重要である3)とも言われている.
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