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臨床経過
患者は40歳代,女性.検診にて十二指腸粘膜下腫瘍を指摘され脂肪腫と診断されたが,経時的に増大傾向を認めたため当院に紹介され受診となった.家族歴,既往歴に特記事項はなかった.当院初回の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)では,前医で指摘された粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)様隆起(Fig.1)が虚脱して舌状の形態を呈し(Fig.2a),その付着部のある十二指腸下行脚は盲端になっていた(Fig.2b).また,呼吸により隆起は前後に移動していた(Fig.2c,d).
初回のEGDから2日後に超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS)を施行したが,その際の内視鏡検査においてSMT様隆起は消失していた(Fig.3a).初回時と同様に今回も十二指腸下行脚は盲端になっていたが乳頭側に瘻孔を認め(Fig.3b),同部に内視鏡を挿入すると正常の十二指腸下行脚を認めた(Fig.3c).EUSにて20MHz超音波細径プローブを用いて十二指腸下行脚から抜去しながらscanすると,粘膜下層を挟むように粘膜が存在する,いわゆる鏡面像を呈する5層構造の膜様構造物を認めた(Fig.3d).低緊張性十二指腸X線造影検査を患者に提案したものの拒否されたため,静脈麻酔を施行したうえでアミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン液(ガストログラフイン®経口・注腸用)を用いて内視鏡下でのX線造影検査を行った.X線造影像にて十二指腸下行脚近位部に膜様,囊状の構造物を認め,乳頭側の欠損部より十二指腸下行脚への造影剤の流出を認めた(Fig.4).
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