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編集後記
九嶋 亮治
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1滋賀医科大学臨床検査医学講座(附属病院病理診断科)
pp.123
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201936
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われわれ病理医は,非腫瘍と腫瘍の鑑別をする際,病理組織学的に異型性を示すところが“領域性”を示すかどうかを観察している.その“領域”の辺縁を“フロント”と呼んでいる.同様に内視鏡医も,通常内視鏡検査において,色調を含む粘膜の表面構造の異常が“領域性”を示すかどうかを観察されているはずである.拡大観察では病理組織学的要素が加味され,粘膜表層部の血管像と上皮の構築の異常をみることで病変の領域性とdemarcation lineを認識されていると思う.拡大観察をもってしても範囲診断を見誤るということは,領域性とフロントが認識し難いということであり,拡大観察は病理学的検索に近づいているので,そのような症例は病理診断も難しいはずである.藤田論文では,内視鏡画像と病理組織像を腺管レベルで一対一対応させる画期的で実用的な方法を紹介している.
胃腫瘍の範囲診断には腫瘍の病理組織学的特徴,進展様式と背景粘膜との対比に加えて,二次的な修飾も考慮しなければならない.内多論文は,連続的多数例の早期胃癌を対象として,内視鏡のmodality別の範囲診断能をH. pylori感染の有無,胃癌組織型別に検討した大論文であり,これで全体像がわかる.潰瘍併存症例の範囲診断の難しさについては齋藤論文で,少数例であるが詳しく検討されている.
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