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編集後記
九嶋 亮治
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1滋賀医科大学臨床検査医学講座(附属病院病理診断科)
pp.367
発行日 2015年3月25日
Published Date 2015/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200182
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「胃癌範囲診断における拡大観察のピットフォール」という内視鏡診断が主体となる本号で,病理医である九嶋が編集後記を急遽担当することになったので,多少の誤認識はご容赦いただきたい.私たち病理医は病理組織学的に異型性を示すところが“領域性”を示すかどうかを観察し,“領域”の辺縁(つまり非腫瘍部との境界部)に“フロント”を認識しつつ腫瘍の診断をしている.拡大内視鏡観察では病理組織学的要素が加味され,粘膜表層部の血管像と上皮の構築異常をみることでdemarcation line(DL)を認識されていると思う.拡大観察は通常観察よりも病理組織学的検索に近づいているわけで,範囲診断(DLの認識)が困難な症例の腫瘍・非腫瘍の境界部の組織像を理解することは,今日的に極めて重要である.
本号では,序説で小山が拡大内視鏡観察に関連する胃癌の基本的な構造について簡潔にまとめている.初学者はここを読んでから各論文に進まれるとわかりやすいと思う.江頭論文では,境界不明瞭な胃癌の病理組織学的特徴が詳細に述べられている.「早期胃癌のIIb進展範囲診断」(本誌45巻1号)の江頭論文を併せ読んでいただくと,肉眼像と病理像の対比を重視する江頭病理の神髄に触れることができる.
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