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編集後記
九嶋 亮治
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1滋賀医科大学臨床検査医学講座(附属病院病理診断科)
pp.1933
発行日 2014年12月25日
Published Date 2014/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200122
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胃腺腫という診断名が主題とされたのは「胃と腸」の歴史の中で3度目である.22巻6号(1987年)「胃の腺腫とは─現状と問題点」の序説(多賀須)には,“良・悪性の境界領域にある胃粘膜の隆起性病変を,良性腫瘍のひとつである腺腫adenomaの名で呼ぶことが妥当か否かという議論である”と記載されている.異型上皮巣(ATP)という用語が一般的であった時代である.38巻10号(2003年)「胃腺腫の診断と治療方針」の時代になると,EMRが普及し,“胃腺腫”という名前も定着している.私もその年に“胃型腺腫”に関する論文で「胃と腸」デビューを果たし,少し異質な腺腫の普及に努めてきた.それから11年,ESDやNBI観察が当たり前のように行われるようになったが,何か新しい知見はあるだろうか? 内視鏡学の進歩に病理学は追いついているだろうか? 病理医によって腺腫の診断基準が大きく異なっていることを承知のうえで本号を企画した.
0-IIa型腫瘍を対象とした腸型腺腫と分化型癌の鑑別診断を目的として,通常内視鏡による鑑別診断(赤松ら)と拡大内視鏡による鑑別診断(八木ら,長浜ら)に関する論文を依頼した.
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