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編集後記
清水 誠治
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1大阪鉄道病院消化器内科
pp.1319
発行日 2018年8月25日
Published Date 2018/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201471
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今回の企画は,私たちが日常的に実践している画像診断の根本的な部分を問い直すもので,これまでに類を見ない.画像の成り立ちをどのような切り口で攻略するかは,モダリティによって異なる.切除標本の肉眼像は人間の眼による直接的な観察であり,病変の所見と組織学的な対応が論点となる.通常内視鏡も肉眼観察とほとんど同様であるが,生体内の観察であるため血流の影響で色調が重要性を帯びる.一方,X線,超音波,画像強調を用いたモダリティでは,通常の視覚と原理の異なる可視化プロセスが介在する.
X線では透過経路でのX線の吸収量の違いを平面に投影するのに対して,超音波では反射した超音波を捉えることで伝播経路の性質や距離の違いを反映した断層像を構成する.画像強調は色調のバランスを人為的にデフォルメすることで強調したい構造を抽出する.マクロ的な観察法では,あるパターンと原因の対応が分散することは避けられないが,ミクロ的な観察ではピンポイントで組織像との対比が可能であり,原因と所見の対応が集束する.
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