増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
病理
hyperkeratosis,hyperparakeratosis
根本 哲生
1
1東邦大学医療センター大森病院病理診断科
キーワード:
不全角化
,
leukoplakia
Keyword:
不全角化
,
leukoplakia
pp.704
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201047
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
- サイト内被引用
定義
hyperkeratosis(過角化)とは,重層扁平上皮のcornified layer〔角質層(角化層)〕の厚さが本来より増している状態を指す1).角質層は扁平上皮の最表層に位置し,最も分化〔角化(keratinization)〕の進んだ細胞から成る.光学顕微鏡的には好酸性で扁平,核の消失した細胞が層状となった部分である.口腔・食道をはじめとする粘膜領域では皮膚(表皮)と異なり,生理的に角質層は存在しない.よって,消化管領域においては明らかに認識される角質層が存在することが過角化とも言える.
parakeratosisは錯角化あるいは不全角化と訳される.錯角化とは角質層の細胞内に本来みられないはずの核が存在する場合を言う1).錯角化が認識されるためには角質層の出現が前提となるので,消化管粘膜において錯角化は必然的に過角化部分における錯角化,すなわち錯過角化(hyperparakeratosis)の状態となる.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.