増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔胃〕
幽門狭窄(pyloric stenosis)
細川 治
1
1横浜栄共済病院外科
キーワード:
ピロステ
,
胃排出遅延
Keyword:
ピロステ
,
胃排出遅延
pp.564
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200915
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定義
胃上中部が胃酸,ペプシンを含む消化液を分泌して食物の消化を行うのに対して,幽門前庭部などの下部は食物を腸に排出する機能を受け持つ.幽門狭窄とは幽門前庭部から球部の一部に狭窄を来して排出障害となり,胃内に食物が停滞した状態を表す用語である.左側臥位で内視鏡を挿入すると十分な絶食の後でも胃穹窿部から胃体部大彎にかけて食物残渣が残り,胃下部に狭小化所見が認められる.非腫瘍性としては良性潰瘍が反復した場合(Fig. 1)に認められることが多かったが,Crohn病の上部消化管病変や好酸性胃腸炎あるいは胃梅毒に伴って発生した報告もある.腫瘍性病変では進行胃癌(Fig. 2)で幽門狭窄を来すことが多いが,早期胃癌が幽門輪近傍に発生した場合にも起こりうる1).壁外からの圧排や腫瘍性病変の浸潤で狭窄を来す場合も認められる.
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