今月の主題 早期胃癌の鑑別診断
綜説
早期胃癌の鑑別診断—内視鏡の立場から
崎田 隆夫
1
,
大森 晧次
1
1国立がんセンター病院内科
pp.621-626
発行日 1967年5月25日
Published Date 1967/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200090
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.はじめに
早期胃癌は,ここ3〜4年来,急激に発見されているが,なお,それには,一定の限界があり,これを飛躍的にのりこえるには,種々の問題が立ちふさがっている.直視下生検および細胞診など診断器具の開発普及は,より微少な早期胃癌の発見を容易にはしたが,まだまだ反省すべきことが多く残されている.一方,内視鏡的観察の進歩が従来,良性疾患として見逃がして来た多くの早期胃癌を発見しだして来たわけであるが,反対に良性疾患で手術された例もすくなくない.そこで,良性疾患として,手術され,病理学的検索により早期胃癌と判明した症例や,早期胃癌と診断され手術の結果,癌ではなかった症例など,いわゆる誤診例を二つの面から反省検討することは,今後の診断学向上のための必須の課題であり,この特集の意義もここにあると思う.そこで著者らは,早期胃癌の内視鏡的鑑別診断を誤診例を中心に,過去4年間のがんセンター手術例を対象として考えてゆきたいと思う.なお,ここで特に次のことをおことわりしておく.
1)内視鏡の診断は,すべて術前の最終レポートによった.なお前回4)の報告は修正診断に基づいているため今回の報告とは若干くい違っている.
2)正診は確診および疑診を指している.
3)深達度誤診,例えば,早期胃癌と思ったら,進行癌だったというような場合,あるいは,その逆の場合などは,今回は数値をあげるにとどめた.
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.