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編集後記
江頭 由太郎
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1大阪医科大学病理学教室
pp.1397
発行日 2014年8月25日
Published Date 2014/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403114261
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かつて,小腸は,消化管最後の未開発地であり,奥地に侵入する交通手段は小腸X線造影検査にほぼ限られていた.近年,新たな交通手段としてバルーン内視鏡,カプセル内視鏡が導入され,普及し,小腸疾患臨床の新たな知見が集積されつつある.このような状況の中で,小腸画像診断において,びらん・潰瘍は比較的高頻度に遭遇する所見である.本号の藤森論文で述べられているように,小腸に指摘される病変の30~40%がびらん・潰瘍性病変であり,さらに,健常者においても約10%に無症候性のびらん・潰瘍性病変がみられる.ところが,このまれならず遭遇する病変であるびらん・潰瘍の原因疾患が同定される頻度は決して高くはない.むしろ,臨床的および病理的に“非特異的”とされ,診断が確定せず,何かモヤモヤした釈然としない状態で結末に至ることはよく経験される.
本号は,松本主之先生(岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科消化管分野)と野村昌史先生(手稲渓仁会病院消化器病センター)とともに企画した.企画の目的は,びらん・潰瘍を呈する小腸疾患の主に診断に関する知見を整理し,その進歩と問題点を明らかにし,小腸疾患の診断精度向上に寄与することである.
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