消化管組織病理入門講座・12
【胃】A型胃炎とカルチノイド
海崎 泰治
1
1福井県立病院臨床病理科
pp.1370-1376
発行日 2014年8月25日
Published Date 2014/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403114256
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はじめに
胃の内分泌細胞腫瘍は比較的まれな疾患であるが,発生起源や生物学的態度が多彩であることから,臨床的もしくは病理学的な取り扱いにおいてその腫瘍に対する十分な理解が必要な疾患である.元来,内分泌細胞腫瘍は,低異型度細胞による特徴的な組織構築を示し,緩徐な発育を示すカルチノイドと,高異型度の腫瘍性内分泌細胞から構成され,急速な発育を示し予後不良な内分泌細胞癌という,発生起源や生物学的態度が全く異なる2種類に大きく分類されていた.近年,WHO分類において,Ki-67*1indexと細胞分裂数を重視したNET(neuroendocrine tumor)G1,G2,NEC(neuroendocrine carcinoma)という分類1)が示されているが,発生起源や生物学的態度の異なる腫瘍が混在した分類であり,運用には注意が必要である.
今回は,WHO分類においては通常NET G1,G2に相当する胃カルチノイドの病理学的所見について概説する.
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