Japanese
English
今月の主題 大腸T1(SM)癌に対する内視鏡治療の適応拡大
主題
大腸T1(SM)深部浸潤癌に対する完全摘除生検としてのEMR/ESD―私はこう考える;積極的な立場から
EMR/ESD as a local treatment for colorectal T1b(SM massive)Carcinomas: My View from the Positive Standpoint
斉藤 裕輔
1
Yusuke Saito
1
1市立旭川病院消化器病センター
キーワード:
大腸T1癌
,
内視鏡的摘除
,
完全一括摘除
Keyword:
大腸T1癌
,
内視鏡的摘除
,
完全一括摘除
pp.1046-1048
発行日 2014年6月25日
Published Date 2014/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403114202
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
近年の内視鏡診断および治療の進歩はめざましく,表面型大腸腫瘍の発見や1),内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;EMR)/内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection;ESD)などの低侵襲治療の開発により2),早期大腸癌に対する内視鏡治療が積極的に行われるようになった.一方,早期大腸癌の中でも粘膜下層(SM)癌には約10%程度にリンパ節転移が認められる.そのため,「大腸癌治療ガイドライン医師用2010年版」3)では,SM垂直浸潤距離1,000μm以上のSM深部浸潤(T1b癌)に対しては原則的に外科手術が推奨されており,治療法選択における術前の深達度診断がますます重要となっている.他方,人口の高齢化に伴う合併症の増加に伴い,外科手術が推奨されるT1b癌に対して手術困難または不能の患者も増えており,リンパ節転移の危険性が高い病変が発見された場合でも,慎重な診断のもと内視鏡治療のみによる経過観察を余儀なくされる例も増加している4).この状況下で重要なことは,術前にT1b癌と診断した病変に対しても遺残なく安全に内視鏡的完全一括摘除を行いうるかどうかの術前診断,およびそれに伴う内視鏡治療手技であると考えられる.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.