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アミロイドーシスはアミロイド蛋白が全身の諸臓器に沈着し,臓器障害を来す難治性疾患である.本誌では22巻11号(1987年)と23巻2号(1988年)に取り上げられて以来,実に27年ぶりの特集である.当時は基礎疾患を中心とした分類であったが,その後の研究の進歩から,今日では前駆蛋白による分類が用いられている.消化管にみられる主なアミロイドーシスは,従来から続発性AAアミロイドーシス,原発性・骨髄腫合併ALアミロイドーシスが知られていたが,近年では新たに老人性全身性アミロイドーシスも散見される(平田序説).
主題論文では,基礎的事項として加藤論文で現在のアミロイドーシス分類と今日までに解明された病態,各種アミロイド蛋白の発生機序に基づいた治療法について概説されている.また,病理の立場から新井論文では,的確な診断のためには粘膜下層を含む十二指腸,胃前庭部,空腸生検が望ましく,アミロイド蛋白の判別には旧来の過マンガン酸処理法は信頼性に乏しいために推奨されないこと,確定診断には各種前駆蛋白に対する抗体染色が必要であることが強調されている.臨床の立場からは,AA・ALアミロイドーシスの消化管病変の特徴を中心に,各分野のエキスパートが論じている.胃・十二指腸病変の画像所見(前畠論文)は,従来と同様で新たな知見は乏しかったが,小腸病変(蔵原論文)では小腸内視鏡やカプセル内視鏡という新たな画像診断の登場により,小腸病変の内視鏡所見が解析された.小腸病変の基本的な画像所見は従来の十二指腸病変に類似し,AA型では微細顆粒状粘膜,AL型では多発性の粘膜下腫瘤様隆起と皺襞肥厚像が特徴的であることが明らかとなった.一方,大腸病変(大川論文)は,AAアミロイドーシスでは全消化管において共通した画像的特徴を有するが,AL型では他部位と異なり,再発(出血)を繰り返す特徴的な粘膜下血腫様病変を随伴するという点は診断の一助となる新たな知見であろう.
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