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Behçet病(Behçet's disease;BD)は反復性ないし遷延性炎症性病変を特徴とする原因不明の全身性の疾患であり,口腔粘膜の有痛性再発性アフタ性潰瘍,皮膚症状,眼症状,外陰部潰瘍を主症状とする.副症状として関節炎,副睾丸炎,消化器症状,血管病変,中枢神経病変などがみられ,これらの有無によって診断基準から,完全型BD,不全型BD,BD疑いに大別される.国際的には口腔内潰瘍を必須とし,陰部潰瘍,眼症状,皮膚病変,針反応を判定項目とする診断基準1)が用いられる.BDでは回盲部を中心に腸管潰瘍が生じることがあり,診断基準の完全型,不全型を満たすものを腸管型BDと呼ぶ.症状として腹痛,下痢,血便が出現し,出血,穿孔のため緊急手術を要することもある.しばしば再燃し,再手術を要する症例も多い.
BDにおける消化管病変は食道から直腸のいずれの部位にも発生しうるが,回盲部(既手術例では回腸─結腸吻合部)が最たる好発部位で,画像的には,周堤を有する境界明瞭な類円形ないし不整形の大きな下掘れ潰瘍が特徴的で,これらは定型的病変とされる(Fig. 1).重症化すれば隣接する腸索や腹壁との癒着や瘻孔を形成することもある.病理学的肉眼像は境界鮮鋭な円形ないし卵円形で,下掘れ傾向があり,潰瘍口は広く,潰瘍縁は盛り上がり組織学的には非特異的炎症によるUL-IVの開放性潰瘍が主体である.潰瘍底は管腔側より壊死層,肉芽組織,漿膜側には線維症を認める2).回盲部以外の大腸,小腸にもしばしば同時性または異時性に大小の潰瘍を認める.これらは腸管膜付着対側に発生し,介在粘膜に炎症はなく,小さくても定型的病変に類似した打ち抜き様を呈することが特徴的である(Fig. 2)3).さらに最近では小腸内視鏡の進歩もあり,回腸のアフタ様潰瘍や区域性病変など多彩な病変も報告されている4).
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