特集 図説 胃と腸用語集2012
疾患〔胃〕
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma;DLBCL)
中村 昌太郎
1
,
松本 主之
1
1九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
pp.750
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113331
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びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma;DLBCL)は全悪性リンパ腫のなかで最も頻度の高い組織型である.胃原発悪性リンパ腫の30~40%を占め,MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫(40~50%)に次いで頻度が高い.組織学的には大型の異型B細胞のびまん性浸潤を呈する.HE標本のみでは未分化癌と誤診されることがあり,免疫染色でB細胞マーカー(CD20またはCD79a)陽性を確認する必要がある.同一病巣内にDLBCLとMALTリンパ腫が存在する場合,一致したクローンとは限らないため,high-grade MALTリンパ腫の名称は使用しない(WHO分類第4版,2008年).
胃DLBCLは内視鏡上,限局した腫瘤を形成することが多い.胃リンパ腫の肉眼分類の佐野分類(表層・潰瘍・隆起・決潰・巨大皺襞)と八尾分類(表層拡大・腫瘤形成・巨大皺襞)に従うと,大半は隆起・決潰型(Fig. 1, 2),または腫瘤形成型に相当する.病変の立ち上がりは健常粘膜に覆われSMT様であり,潰瘍辺縁に癌でみられる不整所見はなく,いわゆる耳介様の周堤を呈することが多い.比較的軟らかく伸展性良好であるが,リンパ球浸潤癌を含む充実型低分化腺癌や粘液癌などの粘膜下腫瘍様胃癌との鑑別は容易ではない.
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