特集 図説 胃と腸用語集2012
疾患〔胃〕
スキルス胃癌(scirrhous gastric cancer)
長屋 匡信
1
1長野市民病院消化器内科
pp.748
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113329
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スキルスという語源は,ギリシア時代にHippocratesが硬い物という意味でスキロスという語を用いている.19世紀初めに癌腫を整理したLaennecはsquirrhe(硬癌)を癌腫の一型としている.また,Müllerはscirrhus(硬質)をcarcinoma simplex(単純癌)とcarcinoma fibrosum(線維性癌)と同じ型に含めている.この頃からスキルスは硬性癌を意味するようになっている1).
スキルス胃癌は線維増生を高度に伴い,肉眼的に硬さを感じさせるものであり,癌が深く浸潤する進行癌に多く,3型,4型を示すものが多い(Fig. 1).線維増生を伴いやすい組織型としては,低分化腺癌,印環細胞癌,中分化型管状腺癌がある.中村ら2)は,スキルスという言葉が肉眼的水準および組織学的水準での両方の意味を含むため混乱を与えるとし,癌の形態ではなく,質的なことを意味するものであると述べている.つまり,スキルス胃癌とは癌の肉眼形態や組織型を示すものではなく組織学的に高度の線維増生を示す胃癌の総称である.
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