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早期胃癌の肉眼型分類は1962年,日本内視鏡学会で田坂1)によって提唱され,現行の「胃癌取扱い規約第14版」〔日本胃癌学会(編),2010〕においても,これが改変引用され記載されている.そのなかで0-IIb型(表面平坦型)は,“正常粘膜にみられる凹凸を超えるほどの隆起・陥凹が認められないもの”と定義され,臨床所見,手術所見,病理所見の3者をそれぞれの時期に判定して,総合所見により記載するものとされている.しかし,平坦という肉眼判定には大きな幅があり,主観的要素が入りやすいため,0-IIbの使われ方は臨床重視の立場や病理重視の立場,総合的な立場など様々であった.1971年,第13回日本内視鏡学会総会のシンポジウム“IIbをめぐって”(司会 : 白壁彦夫,福地創太郎)において,便宜的な0-IIbの分類について以下の様に提唱された.諸家の記載では,ホルマリン固定標本,新鮮標本で割面を含めた肉眼所見より全く平坦な,厳密な意味での0-IIbを“典型IIb”とし2)~4),部分的に0-IIcまたは0-IIaの要素があるが全体としてはほとんど平坦なもの2),もしくは臨床的に平坦に近いと思われる極めて浅いIIcまたは弱い高まりの0-IIaを“類似IIb”3)4)と表現されている.また,IIbのみから構成されるものを“単独IIb”とし,他の肉眼型を呈する癌(0-IIc型,0-IIa型など)の辺縁に連続して存在するものを“随伴IIb”と分類した2)~4).そのほかの報告では“典型IIb”の同義語として“純粋IIb”と表現された報告も少なくない.また,“単独・典型IIb”や“随伴・類似IIb”といった言葉を重ねる表現も認められる.
従来,典型IIbは微小癌がほとんどで頻度も低く,早期胃癌の1%以下の頻度と考えられてきた.しかし,近年の報告によると微小癌を除いた早期胃癌の検討においても単独IIbは1.5%,随伴IIbは6.3%5)と,その増加が示唆されている.
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