特集 図説 胃と腸用語集2012
疾患〔胃〕
陥凹型胃腺腫(depressed adenoma of the stomach)
長浜 孝
1
1福岡大学筑紫病院消化器内科
キーワード:
dysplasia
,
腺腫
Keyword:
dysplasia
,
腺腫
pp.744
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113326
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
- サイト内被引用
現在,胃生検組織診断分類でGroup 3と診断される病変は腺腫と称され1),その肉眼型のほとんどは隆起型である.そして,胃腺腫内の5~15%程度1)2)の頻度で,病理組織学的に隆起型胃腺腫と全く同様の異型を呈しながら,肉眼的に陥凹の形態を呈するものがあり,陥凹型胃腺腫と称されている.しかし,病理学者によっては,このような陥凹型病変自体,異型を伴う再生であるのか,あるいは0-IIc型の高分化腺癌そのものなのかなどが明確でなく,胃dysplasiaとして通常の胃腺腫とは独立した疾患単位とすべき立場もあり,いまだその病態は不明な点も多い.
陥凹型胃腺腫の癌化の頻度は5~68.4%1)~3)と,隆起型胃腺腫(2.5~6.9%1)~3))と比較してmalignant potentialが高いとする報告が多いが,両者間で癌化の危険性に差はないとする報告4)も認められる.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.