特集 図説 胃と腸用語集2012
疾患〔咽頭・食道〕
Barrett食道(Barrett's esophagus)
山形 拓
1
,
平澤 大
1
1仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科
キーワード:
Barrett上皮
,
食道腺癌
,
逆流性食道炎
Keyword:
Barrett上皮
,
食道腺癌
,
逆流性食道炎
pp.727
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113311
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食道胃接合部から連続性に食道へと伸びる円柱上皮をBarrett粘膜と呼び,Barrett粘膜の存在する食道をBarrett食道と呼ぶ1).欧米では生検による腸上皮化生の存在がBarrett食道診断の条件であるが,本邦では腸上皮化生の有無は問わない.Barrett粘膜が全周性に3cm以上あるものをLSBE(long segment Barrett's esophagus,Fig. 1),それ以外をSSBE(short segment Barrett's esophagus,Fig. 2)と定義され,欧米ではLSBEが,本邦ではSSBEが多くみられる.Barrett食道の内視鏡像は,光沢を失ったビロード状の発赤面を呈することが多い.
Barrett食道の診断には,食道胃接合部(esophagogastric junction;EGJ)を同定する必要がある.EGJは内視鏡的に食道下部の柵状血管の下端2),ないしは胃大彎の縦走襞の口側終末部と定義されている3).本邦では萎縮性胃炎の合併頻度が高く,胃粘膜襞が観察されないことがある.また,胃粘膜襞の口側端は空気量により容易に変化することから,柵状血管下端をもってEGJと診断する機会が多い.しかし,柵状血管も炎症などで不明瞭となる場合があり,両者を併用して診断することが大切である.
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