特集 図説 胃と腸用語集2012
解剖
胃の解剖用語
細川 治
1
,
柳本 邦雄
2
1国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院
2国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院病理診断科
pp.622-624
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113240
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胃は食道に続き,十二指腸に連なる管腔面積が最も大きな消化管臓器である.食道との粘膜境界は内視鏡画像上,食道下部柵状血管の下端,または胃大彎の縦走ひだの口側終末部とされ,X線検査上は後者の区分を用いる以外にHIS角を水平に延長した線ともされる.さらに筋層段階での境界としては,胃の入口部,食道の左側にまたがるように位置する最も内側の筋束,sling fiberがあてられる.粘膜段階と筋層段階の境界がずれることはもちろん,内視鏡とX線で境界が一致しないこともしばしば経験される.十二指腸球部との境界は幽門輪である.
胃の上部は肋骨弓下にあり,食道胃接合は第11胸椎左辺,幽門輪は第1腰椎右辺,両部位前後で後腹膜に固定されるが,中間部は固着しておらず,横行結腸と肝左葉に覆われない範囲では前腹壁に接している.長軸方向の長さは小彎で15cm,大彎で45cm程度であり,最も管腔の広い個所の径は12cmとされる.屍体胃を用いた計測では1l以上の容量が報告されるが,有管法検査で胃透視を行っている立場からすると,バリウム100mlと空気300mlの注入で大半の胃が緊満することから生体内にある状態では500ml程度の容量と推定される.
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