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編集後記
武内 俊彦
pp.894
発行日 1980年8月25日
Published Date 1980/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112751
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本誌10巻6号が消化管憩室を特集してからすでに5年の歳月が過ぎた.当時は十二指腸憩室,大腸憩室,憩室様病変,Meckel憩室など消化管憩室という立場からとりあげられたが,本号では最近問題になっている大腸憩室に的を絞ることにした.
大腸憩室については従来より食事,社会環境,加齢などと深く関連しているといわれている.そこで,わが国の大腸憩室の実態は最近変化してきているのか,わが国に多い右側結腸憩室と欧米に多いS状結腸憩室の本質的な差異は何であるのか,成因,病態生理はどこまで明らかにされているのかなどを考え,その方面で活躍されておられる方々に執筆していただき,座談会でも討論していただいた.合併症については手術適応を含めてどう対処すべきかが述べられ,症例としてもすべて興味あるものが提示された.病態生理に関しても詳細な病理組織学的検索,内視鏡を用いた腸管内圧の測定などの機能面からの観察によって右側結腸憩室と左側結腸憩室との間にはいくつかの点で類似性のあることが示された.これらの知見を基礎に更に大腸憩室の問題点がわが国独自の検討を通じて解明されていくことが期待されるが,今回の特集はその端緒になりえたものと考えている.
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