--------------------
編集後記
武内 俊彦
pp.704
発行日 1981年6月25日
Published Date 1981/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108083
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本号では“胆道系疾患の臨床”シリーズの1つとして総胆管結石症を取り上げたが,その趣旨は竹本忠良教授が序説で述べられていることに尽きる.
周知のごとく,総胆管結石症は本邦に多い病態であるが,これを真正面から扱った特集は見当らず,胆石症における1つの隘路といえよう.戦後間もなく発刊された松尾巌著「胆石及び胆道の疾患」(大雅堂,昭和22年)にはもちろん総胆管結石という言葉はなく,輸胆管の胆石と称されており,エリトロシンによる経静脈性胆囊造影,十二指腸ゾンデ法が胆道疾患の診断法として記載されている.最近10年間の本症の診断,治療面における進歩は確かに目をみはるものがあり,PTC,ERCPなどの直接胆道造影法の出現で,その診断は飛躍的に向上したし,さらにUS,CTも加わってきた.しかし,経口,経静脈性造影法やリオン法の臨床的意義は失われていないし,新しい検査を含めた検査法の体系づけも確立されたとは言い難い.総胆管結石症の診断,治療の現況について第一線で活躍されている方々に執筆していただき,臨床上の問題点を座談会で率直に述べていただいた.本特集を通して各施設に応じた検査体系が築き上げられればと考えるし,そろそろ検査づけ診断のそしりを免れるためにもこれは重要な課題であろう.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.