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編集後記
芦沢 真六
pp.398
発行日 1975年3月25日
Published Date 1975/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112256
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病理学的にはポリープが癌化したとしか考えられない病変があるという.それでは初診時確かに良性だと思われたポリープを永くfollow-upすれば癌になるものがあってもよいのではないか.そういう症例を探そうというのが本号の一つの目的でもあった.その背景には昔のように癌化を懼れて切除するにはあまりに多くのポリープが見つかるようになりそれらを慎重にfollow-upすればする程癌になる例はないということを皆がうすうす感じてはいるが絶対癌化しないといい切るにはまだ観察期間の充分な症例が一施設では少いということもある.
本号ではまずどのような例を現段階ではポリープの癌化というのかの組織学的判定基準をこの方面での造詣の深い長与先生に解説していただき,あと各施設でのポリープの癌化と思われた症例や良性ポリープの長期観察結果などを主としてならべた.両者を対比し乍ら読むことは大変興味あることと思われるが,まだ問題がclear cutになったとはとてもいえない.しかし提示された症例はすべてポリープの癌化に関して何らかの示唆を与えるものであり,この問題についてのわれわれの考えを大きく前進させてくれるものである.
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