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編集後記
芦沢 真六
pp.713
発行日 1967年5月25日
Published Date 1967/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200100
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今でこそ多くの人がレ線或は内視鏡で早期癌はどのように表現されるかを知っており,定型的のものは術前に敢てその診断を下し,ほとんど誤ることがない.最近の外国からの便りによると,日本では切除して病理標本も見ないうちに早期癌だという診断を下すことが不思議でならないらしい.きっとひそかに生検をやりそれをかくしているに違いないということである.ものまねでないほんものが日本で静かに深く進んでいたことを御存知なかったからという他はない.しかし安心は禁物である.われわれはときどき過去を振り返り,失敗は失敗として率直に認め,その失敗は二度と繰り返すまいという覚悟を持って,もっとはるか先に目標を置かねばならない.この意味で本号では特に各方面の大家に早期胃癌と誤り易い病変を中心として,現時点での振り返っての鑑別の要点を述べて頂くことにした.その内容を充分自分のものとされるばかりでなく,著者等の診断向上の為の今迄の苦労も分って頂きたい.
また,座談会のテーマも同じような意味を持っており,検査に際しては1例1例を大切に取り扱うことが必要のことが教えられると思う.
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