初心者講座 大腸検査法・2
肛門・直腸病変の診方(2)
岩垂 純一
1
Junichi Iwadare
1
1社会保検中央総合病院大腸肛門病センター
pp.231-234
発行日 1987年2月25日
Published Date 1987/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112245
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肛門・直腸病変の診察を行う際に注意しなければならないのは,患者は,われわれが想像する以上に差恥心や,何か痛いことをされるのではないかといった恐怖心を抱いているということである.そして,差恥心や恐怖心を強く感じさせると,体に力が入ってしまい,肛門括約筋の緊張は強くなり,その結果として肛門・直腸部の十分な診察は不可能となってしまう.したがって肛門・直腸部の診察に際しては,患者に余計な差恥心,恐怖心を感じさせないような配慮がまずは必要となる,つまり,リラックスさせるため患者にはよく話しかけるようにし,職員間の私語はなるべく控え,診察,検査がいかに行われるかを十分に説明したうえで行ってゆくようにする.
さて,肛門・直腸病変の診察は,問診を前もって行い,いかなる疾患かのおおよその見当をつけたうえで,①肛門周囲の視診,触診,②肛門・直腸内の指診,③肛門鏡診,④直腸鏡診の順で行われるが,以下,その各々について,いかに肛門・直腸病変を診るかを述べる.
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