Japanese
English
今月の主題 中垂腫瘤
序説
虫垂腫瘤の画像診断
Introduction
牛尾 恭輔
1
Kyosuke Ushio
1
1国立がんセンター放射線診断部
キーワード:
虫垂腫瘤
,
画像診断
Keyword:
虫垂腫瘤
,
画像診断
pp.1141-1142
発行日 1990年10月25日
Published Date 1990/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111473
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消化管全体をみると胃の噴門部や回盲部のように,臓器の境界部で管腔の幅は急に変化する.だが内容物は1本の管の中を通過してゆく.虫垂は消化管という系に属するが,消化管の主な経路ではなく,内容物が必ず通るということではない.消化管のわき道を形成し,人間が直立歩行する関係上,内容物が溜まりやすい.また虫垂は免疫系の一翼を担っている.そのため物理的刺激や免疫能の低下などによって,種々の炎症性病変や腫瘍性病変が発生しやすい.虫垂の単位面積当たりの病変の発生率は高いと考えられている.しかし管腔が狭いため,病変を画像として捉えにくい.
虫垂は盲腸の下端から内側かつ下方に走行し,虫様に突出した細長い盲管である.虫垂は解剖学的にみて虫垂間膜と盲腸に付着しているため,通常は内側,下方に弓状に走行する.しかし,その結合は弱いため,X線検査の際,時相を変えたり,圧迫することにより,その位置は容易に変化し,捻れ,屈曲,ループ形成などが見られる.また虫垂の形状,特に長さ,太さ,走行などには,変異が多い.そのため虫垂に生じた腫瘤が,小腸や卵巣などの他臓器の疾患とも間違われやすい.
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