診断の手ほどき
深いⅡcと浅いⅡc
川井 啓市
1
,
赤坂 裕三
1
1京都府立医科大学第3内科
pp.1025-1028
発行日 1970年7月25日
Published Date 1970/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111382
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Ⅱcは,早期胃癌のなかでは最もしばしば遭遇するが,Ⅱc内部の潰瘍の動きによってはⅡc←→Ⅱc+Ⅲ←→Ⅲ+Ⅱcと変化するので,一応本型は陥凹型早期胃癌の基本型とでも言うべきであろう.
X線および内視鏡診断の手順は原則的に切除標本の肉眼所見を基礎にして進められる.Ⅱcの肉眼的特徴は図1に示すように,不整形の浅い陥凹の存在で,陥凹の境界は,新鮮標本では時に不明瞭なものもあるが,フォルマリン固定ないし半固定標本ではほぼ全周性に輪廓を指摘することができる.時に癌の浸潤を免れた粘膜が残存し,陥凹内部の粗大な顆粒としてみられることがある,Ⅱc内部に潰瘍性病変がみられる時には皺襞の変化が,ペン軸様のヤセ,中断,時に融合としてみられる.したがって,X線および内視鏡診断のコツはいかに病変を詳細に描写し,読影するかにかかっていると言える.
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