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編集後記
西元寺 克禮
pp.468
発行日 1999年2月26日
Published Date 1999/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102999
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消化器疾患の画像診断の進歩は目覚ましく,今日では病変の存在・性状診断のみならず癌の浸潤範囲,転移についても術前あるいは剖検前に正確に知ることが可能となっている.消化器疾患と言っても消化管と肝・胆・膵では手技の重みづけが異なるのは当然であり,消化管では消化管造影,内視鏡が今日でも中心である.したがってUS,CT,MRIは消化管疾患では,管外性の変化が主な診断対象であり,「胃と腸」ではこれを中心に取り上げることはほとんどなかった.「消化管の画像診断―US,CT,MRIの役割」と題する本増刊号は,これまでややもすると等閑視されてきた,これら検査法の意義を集大成したものとなっている.腫瘍,特に癌の壁内浸潤範囲診断,深達度診断など,体外式USやCT,MRIが不得手とするものもあるが,転移など腫瘍の診療にはこれらの検査が不可欠のものとなっており,これらが体系的に述べられている.このようにこれら3種の検査の適応は主として腫瘍であるが,本号では炎症の診断について,Crohn病などの慢性炎症性疾患のみならず,憩室炎,虫垂炎,エルシニア腸炎なども取り上げられている.また,腸間膜脂肪織炎など,今日注目されている疾患の検討や,三次元画像診断,virtual endoscopyなどのトピックスも網羅されており,本増刊号が今後診療のうえで必携の書になるものと確信する.
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