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編集後記
西元寺 克禮
pp.972
発行日 1995年6月25日
Published Date 1995/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105466
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大腸は食道とともに,全消化管の中で悪性リンパ腫が少ない臓器であるが,近年症例検討会でもしばしばお目にかかるようになっている.胃の悪性リンパ腫は周知のごとく,表層型,巨大皺襞型,潰瘍型,決潰型,隆起型に分けられるが,近年表層型の占める割合が増加していること,組織学的にはこれらがIsaacsonらが提唱したMALTリンパ腫であるものが大部分を占めることなどが注目されている.大腸に発生する悪性リンパ腫の肉眼分類は確定していないが,表層型に相当するものは極めて少ないようで,これは診断学的な問題なのか,小腸や大腸では発育・成長上,胃と異なったものなのか,今後解明されなければならない。本号では浸潤,転移したと思われる多発微小病変,MLPの大腸病変,ATLの大腸病変,良性リンパ濾胞性ポリープ,T細胞性悪性リンパ腫など興味ある症例が掲載されている.これらの病変と悪性リンパ腫との関係は大いに興味のあるところであり,呈示された悪性リンパ腫症例の多彩さも,診断学上の好奇心をかき立ててやまない.症例の蓄積が今後の整理のために必要であろう.
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