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編集後記
佐野 量造
pp.917
発行日 1970年6月30日
Published Date 1970/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111364
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胃癌を含めて胃疾患の病理はKonjetzney Stout以来あまりめざましい進歩はないように思われましたが,胃生検の出現によって,臨床はもちろんのこと,胃の外科病理がにわかに活気を呈してきたことは事実でしょう.
本誌を手にしてみて,胃生検に関する業績が短期間にこれほどの成果をあげるとは当初誰しも想像しなかったことと思います.まず診断面では微小癌の発見,潰瘍良悪性の鑑別にその真価を発揮し,また良性潰瘍,ポリープ,慢性胃炎の経過追求によって長年論争された難問題の解決の手掛りが得られたようです.また,基礎方面では胃生検材料を用いて電子顕微鏡,組織化学,または組織培養などによって胃疾患の動態的研究が可能となってきました.しかしなんと言っても,生検本来の使命は早期胃癌の発見であり,この点で最も心強いことは第一線の開業の諸先生が現時点における保険点数の採算を度外視して,胃生検を実施し早期胃癌の発見に努力されていることでしょう.
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