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編集後記
佐野 量造
pp.1610
発行日 1969年12月25日
Published Date 1969/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110887
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本号をもって「胃と腸」4巻も有終の美を飾ることになります.この号は「腸」シリーズで,本号に関する限りは「腸と胃」です.潰瘍性大腸炎のような,日常経験することは非常に少ないが,しかし大腸疾患の鑑別には是非知っておかねばならぬという“やっかい”な病気を,臨床と病理の面から詳しく記載された雑誌は大変有難い.私達の病院で,過去7年間に手術された潰瘍性大腸炎は僅か2~3例程度で,こう材料が少なくては勉強するにもしようがないというのが本音です.大腸癌は世界的にも増加の傾向があり,まずその鑑別診断として潰瘍性大腸炎の一般的知識はますます必要となるでしょう.
「胃と腸」4巻を通覧して気のつくことは,早期胃癌も深達度の診断とより芸が細かくなり,また一方では胃生検による微小癌の診断,さらに十二指腸ファイバースコープによる膵および乳頭癌の早期発見と,十二指腸の癌も射程距離に入ってきたようです.ますます臨床と病理の協同作業,両者の情報伝達が不可欠のものとなってきました.世はまさに情報時代,断絶は困ります.仲良くやりましょう.
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