今月の主題 胃の巨大皺襞
症例
巨大皺襞を示した肥厚性胃炎症例
芦沢 真六
1
,
永野 信之
1
,
三谷 山明
1
1東京医科大学内科
pp.535-537
発行日 1968年5月25日
Published Date 1968/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110744
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症例
患者:武○実,24歳,男子,デパート店員.
主訴:左季肋下部の圧迫感.
家族歴:父方の祖父は67歳の時脳卒中で死亡,母方の祖父は57歳の時糖尿病で死亡した.
両親の祖母ら,両親および4名の同胞はいずれも健在である.
既往歴:特記するものはない.飲酒せず,喫煙は日に15本位である.ツベルクリン反応は15歳の時陽転した.
現病歴:以前から,時々不定の上腹部愁訴が出没し,胃弱の傾向があったという.昭和40年6月頃から,左季肋下部の圧迫感,前胸部の不快感および嘔気が時々生じるようになり,勤務先の医務室に受診し,内服薬の投与を受けていたが,愁訴が消えなかったため,昭和40年8月5日,本院内科を受診した.外来で糞便潜血反応アミノピリン法陽性,胃X線検査では胃液の瀦溜が多く,レリーフ像が明瞭でなく,幽門輪の周辺粘膜が特に不整で十二指腸球部の充盈も不全であり,胃十二指腸炎の診断で胃カメラ検査を行った.胃カメラ像は粘膜全体が凹凸不整で,連続性もなく,所々に発赤やベラークも認められ,一応ポリポージスの診断でMénétrier氏病の疑いもありとして8月31日入院した.
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