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佐世保早期胃癌研究会の概況を御報告するにはまず長崎県の胃疾患研究会の発展経過を知って頂く必要があります.本県では第一回の東京で行なわれた胃カメラ講習会に長崎市民病院内科の山根先生(現開業),ついで長大筬島内科平井得夫先生が出席され,それぞれ基礎をつくられました.その当時より平井先生を中心として,大学の中では同好の人が集り,なんとはなしに胃カメラ同好会が出来あがり,カメラの読影,レントゲン診断などが気楽にディスカッションされていました.昭和39年10月日本消化器病学会,日本内視鏡学会の各九州地方会が,筬島教授を会長として,長崎で行なわれ,教室先輩の綿田,喜々津,影浦,池田各先生の御努力により,学会前夜に胃疾患検討会をE社の援助により長崎グランドホテルで開いたのが正式の始りであります.その時は九大より岡部,井上,古沢各先生,中村(現福岡医師会病院)先生などにより,活発な討論がなされ,時間が予定よりオーバーする盛況でした.岡部先生にはそれ以来一年に1~2回出席して頂き,一つのテーマでの講演と診断などのアドバイスを頂いており,会員一同深く感謝いたしております.幸いなことに長大病理竹林助教授,放射線科の常岡助教授からもそれぞれの立場から御発言を頂き,開業されている方々の中には高原誠先生一門,井上哲治先生などの活発な働きがあり,年に一回は東京から講師をお招きしており,すでに村上,白壁両先生からそれぞれの立場で貴重な御講演を頂いております.さて佐世保地区では上述したバックがなく,在住の諸先生方より佐世保でも開催してくれるようにとの要望が強く,42年7月に第一回を市民病院,犬塚,早川が中心となりE社,Y医療器械店の御厚意により,計画いたしました.御存知のように佐世保周辺は九大,長大のほぼ中間にあり,大きい病院も少なく,出席を心配しておりましたが,第一回より80人を越す盛況で2カ月に一回開いております.講師としては長大筬島内科より池田,梶山両先生に御足労をおねがいしております.こういうように回も浅く,各地区や大学で行なれわている検討会とは異り,日夜第一線で活躍しておられる多忙な先生方が中心であり,早期胃癌研究会という名にはずかしい位の低いレベルであり,少量のバリウムによる充満像や,不十分なダブルコントラスト,内視鏡ではどこに病変がうつっているのか判定に迷う例も多かったようであります.しかしこれらの点も回を重ねるにしたがって改良され,質問の内容も基礎的なものから,漸次早期癌の型,進展度,異型上皮の問題などにまで討論されるようになり,提出されるレントゲン,内視鏡も一応見るに耐えるように向上していっているのは嬉しいかぎりであります.症例も進行癌やはっきりした潰瘍,自分では癌と思うが,自信がないのでこの会で討論してもらい,結論をえたいとするものなどが多いようでしたが今年に入り,隆起性病変の考え方,ビラン性胃炎,早期胃癌,異型上皮なども発表され,盛況をていしております.中村裕一先生が本紙3巻4号でふれられているように,どこに出してもはずかしくないレントゲンフィルム,内視鏡フイルムの撮影法を末端で活躍していられる開業医,勤務医に習得してもらうことが,胃癌の発見ひいてはその早期の時期による発見を増加させる基盤となるものであると信じております.
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