今月の主題 難治性胃潰瘍
綜説
難治性胃潰瘍に対する生理的胃切除法
槇 哲夫
1
1東北大学医学部愼外科
pp.1050-1057
発行日 1967年8月25日
Published Date 1967/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110550
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Ⅰ.まえがき
難治性胃潰瘍には明確な定義はないが,一般には慢性経過をとって治癒が遷延し,胼胝性,穿通性の性状を示す潰瘍が総括される.これを潰瘍発生の因子の面よりみると,攻撃因子として塩酸,ペプシンの分泌充進による過酸,防禦因子として粘膜の抵抗性減弱をきたす因子,さらに血行障害などの影響も存在しているものと考えられる.このような潰瘍には出血,穿孔,狭窄および癌化などの危険が存在し,外科治療の適応となるわけである.また逆に言うならば,外科治療の対象となっている胃潰瘍の大部分のものは難治性潰瘍とみなすこともできよう.われわれは後述の理由から胃潰瘍と十二指腸潰瘍と手術対象としては別個に考え,胃潰瘍に対しては幽門機能を保持させるような胃切除術式を採用している.以下それらの術式や術後成績を中心に述べることにする.
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