今月の主題 胃の多発性潰瘍
綜説
胃体部多発潰瘍のX線診断
熊倉 賢二
1
,
高木 国夫
2
,
中村 恭一
3
,
菅野 晴夫
3
1癌研内科
2癌研外科
3癌研病理
pp.1139-1148
発行日 1967年9月25日
Published Date 1967/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110518
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Ⅰ.はじめに
胃潰瘍をX線診断する立場に2つある.1つは,個々の潰瘍をできるだけ適確に発見し,質的診断をしようとする立場である.これは,Reiche(1909)やHaudek(1910)以来,胃潰瘍のX線診断の主流をなすものである.もう1つは,ニッシェが認められにくいのに,変形が著明な線状潰瘍や多発性潰瘍にあてはまることであるが,胃の変形によって潰瘍の存在および存在部位を推定しようとする立場である.この2つの立場から胃潰瘍を追求することによって,胃潰瘍のX線診断はいっそう適確になる.以上が白壁・熊倉の,胃潰瘍X線診断についての基本的な考え方である.
では,胃体部多発潰瘍のX線診断の実状はどうしたらよいのであろうか.1)多発性潰瘍による胃の変形について,2)そのほかの補足的な事項,3)特殊な多発性潰瘍の症例にわけて検討することにする.が,1),2)はすでに発表されているので,今回は,略述するにとどめ,重点を 3)におくことにする.
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