--------------------
海外文献紹介「慢性B型肝炎患者における肝細胞癌の早期発見―追跡調査」
種広 健治
1
1愛知県がんセンター第1内科
pp.664
発行日 1986年6月25日
Published Date 1986/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110360
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
Early detection of hepatocellular carcinoma in patients with cbronic type B hepatitis―A prospective study: Liaxv, Y-E, Tai D-1, et al (Gastroenterology 90: 263-267,1986)
無症候性HBs Agキャリアー,慢性肝炎,肝硬変,肝癌はHBウイルス感染による一連の続発症と考えられ,追跡調査によりHBs Agキャリアーと肝硬変が肝癌のハイリスク群であることが示された.しかし,慢性肝炎の経過を追い,肝癌の発生を調べた研究は現在まで見当たらない.
著者らは,臨床病理学的に診断した慢性B型肝炎で,HBs Ag陽性者432名と,対照のHBs Ag陰性者105名を対象として,3~6か月ごとの,血清αフェトプロテイン(AFP)と腹部超音波検査(US)により肝癌のスクリーニングを行った.6~85か月(平均26.9±16.8か月)の調査期間中に,AFP上昇が契機となり6名,USにより2名,計8名の無症候性肝癌が,HBs Ag陽性群から発見された. これを計算すると, 年間発生頻度は826/100,000で,35歳以上に限れば,768/100,000となり,文献上,無症候性HBs Agキャリアーにおける頻度よりかなり高くHBs Ag陽性の肝硬変と同じ頻度であった.また,HBs Ag陰性群からの肝癌の発生は1例で,HBs Ag陽性群と陰性群における肝癌発生リスク比は2,35歳以上に限ると5となった.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.