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今月の主題 回盲弁近傍潰瘍(2)―Intestinal Behcetを中心に
総合評
6~7号の「回盲弁近傍潰瘍症例」16例について
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西沢 護
1
,
中村 恭一
2
M. Nishizawa
1
1東京都がん検診センター・診断部
2筑波大学基礎医学系病理
pp.951-953
発行日 1979年7月25日
Published Date 1979/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107725
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●臨床の立場から
腸の潰瘍性病変のなかでも,結核やアクチノミコーゼのように炎症の原因がはっきりしており,特異的な組織所見を示す特異性潰瘍のほかに,炎症の原因も不明で組織所見から診断を確定できないような非特異性潰瘍が多数存在する.ことに回盲弁近傍に発生するものが多く,またこの部位は種々の潰瘍性病変が高頻度に発生するために,鑑別診断がむずかしい.
本誌6号と7号では回盲弁近傍の非特異性潰瘍を集めたものだが,6号にはいわゆる単純性潰瘍といわれる,まだそのentityのはっきりしていないものを,7号には腸型Behcetを主体に症例が並べられている.6号の〔症例1〕から〔症例5〕までと,本号の〔症例7〕は,病理組織所見からは非特異性潰瘍としか診断できず,臨床所見からみてもその原因がつかめない.共通していることは,単発,多発にかかわらず,Ul-Ⅳの深い下掘れのある潰瘍をもち,その潰瘍の形もpunched outで,ちょうど急性増悪した胃潰瘍や穿通性胃潰瘍の形に似ていることである.これらの潰瘍とその形が非常によく似ているだけでなく,腸間膜付着反対側に発生しやすいこと,穿孔例の多いこと,再発しやすいことなどの性質もよく似ているのがBehcet病にしばしば発生する腸潰瘍である.
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