学会印象記
第25回 日本消化器病学会大会―下部消化管領域を中心に
沢田 俊夫
1
1東京大学第1外科
pp.69
発行日 1984年1月25日
Published Date 1984/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106931
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今回の第25回日本消化器病学会大会は歴史と伝統の町並みに近代的建築の調和した政都山口市で開催された.初日午後こそ秋雨にみまわれたが,2日目,3日目は晴天に恵まれ,多方面にわたる豊富な内容の講演,シンポジウム,ワークショップが企画され,また多種多様な一般演題でも活発な質疑応答が繰り広げられた.
下部消化管領域では課題特別講演(3)において東大第1外科の武藤氏が大腸ポリープと癌について講演した.武藤氏はまず従来大きな腺腫に癌化のポテンシャルが高いとされてきたことを述べ,次いで内視鏡的摘除ポリープの検索により,1cm以下の短茎・無茎性の小さな腺腫にも予想以上に腺腫内癌が見い出されている事実を強調した.また一方で明らかにde novo癌と考えられる症例を提示しつつ,大腸癌の発生母地としては,これらの小さく扁平な腺腫の癌化に注目し,その粘液組成の変化など様々な検索を進める必要性を強調した.
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