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書評「Gastric Anisakiasis in Japan」
荒木 恒治
1
1奈良県立医科大学
pp.1198
発行日 1989年10月25日
Published Date 1989/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106601
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「Gastric Anisakiasis in Japan」と題して,アニサキス症の疫学,診断,治療について,企画集約刊行されたことは,大いに意義あることであり,並木正義教授,石倉肇博士に敬意を表する.
アニサキス症は海産哺乳動物(クジラ,イルカ,トド,オットセイなど)の胃内に寄生する線虫で,その幼虫が回遊海産魚類を第2中間宿主として寄生し,その生造りや,鮨,酢じめなど日本人の古来よりの風習の隙に乗じて,ヒトに侵入し,胃や腸壁に穿入する厄介な病害を与えるものである.本症は1963年日本で報告され,北日本,日本海沿岸地方での発症が問題となったが,最近の流通機構の発達により,日本全国各地に広まり,沖縄でも本症が見られるようになっている.今や日本のみならず,日本食の欧米への進出普及により,本症が世界で大きな話題となってきた.こうした背景から,本書が刊行されたことの社会的意義は極めて大である.
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