Coffee Break
局注膨隆絞断法―strip biopsy かダイレ法か,はたまたローゼンバーグ法か(2)
渡辺 豊
1,2
1松島病院大腸肛門病センター
2東京慈恵会医科大学
pp.138
発行日 1993年2月26日
Published Date 1993/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106095
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4.strip biopsyがオリジナルではないことを学会で公表
このことを知ってしまって,私としてはどのように対処したらいいのか大変迷ってしまった.放置しておけば,そのうち多田博士本人,あるいは身近な人が気づいて注意してくれるだろう,という安易な気持に対して,当然このことを公にすべきだという義務感とが交錯したからである.
そうこうするうちに第40回日本消化器内視鏡学会総会の福富久之会長からビデオ実技討論の司会を引き受けてくれるようにとの依頼があった.ところが,何とそのなかに多田博士の内視鏡的粘膜切除に関する演題があったのである.予報集の抄録を読んでみると,やはりstrip biopsyの実技についての発表であり,例によって“われわれの開発した……”となっていた.事ここにいたってはほうっておくわけにもゆかず,ダイレと内田博士の論文を多田博士のもとに送り,更に学会当日,多田博士の"われわれが開発した"という発言(録音?……消し忘れたか)に対して,病変部の粘膜下に生食水を局注して病変を浮き上がらせ,これにスネアをかけて切除するという技術は多田博士のstrip biopsyが最初ではなく,それより10年以上も前に発表されていることを指摘した.
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