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編集後記
西俣 寛人
pp.108
発行日 1993年1月25日
Published Date 1993/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106009
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胃癌は変わったか?というテーマである.永年胃癌の診断学に携わった者からみると確かに変わってきたというのが実感である.胃癌の本来持っている生物学的特性が変わったと考えるより診断学が変わった結果であろう.
本号で共通して述べられていることは,未分化型の浸潤癌が増加し,早期癌の比率が50~60%に増加し,Ⅱc型が多く,Ⅱc+Ⅲ型が減少している点である.座談会の主張は胃癌のルーチン検査が直視型内視鏡検査で行われるようになってきたこと,内視鏡による二次スクリーニングが普及したことが早期癌の比率を高めた要因となっているということである.内視鏡診断の立場から時代的変遷を論じた早川は最近10年間で早期癌が60%を占め,臨床的に診断された10mm以下の早期癌が著明に増加(21.4%)したと述べている.一方,集検発見胃癌の時代的変遷を論じた細川は早期癌の比率は72.5%に達し,そのうち10mm以下は18.1%と増加していると述べている.間接X線検査で,これだけの診断能を示され,スクリーニング検査では拾い上げが困難と言われているC領域,前壁,大彎の早期癌の問接X線像が呈示されている.驚くべき成績である.胃癌診断に情熱を持って集検を行えば,内視鏡によるスクリーニング検査と変わらない結果が得られることを示した成績である.
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