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EUSでsm浸潤癌と誤診した大腸腺腫の1例
清水 誠治
1
,
芳野 純治
2
1京都第一赤十字病院胃腸科
2藤田保健衛生大学第2病院内科
pp.1598-1600
発行日 1995年11月25日
Published Date 1995/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105593
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(症例) 68歳,女性.便潜血陽性のため大腸内視鏡検査を施行したところ,S状結腸に径7mmぐらいで一部に軽度の発赤を伴うとさか状のIs型ポリープが見い出された(Fig. 1a).帯域強調処理を施すと表面構造は管状型が主体を占め腺腫であることが推定された(Fig. 1b).しかし,この病変に対して20MHz細径超音波プローブを用いて観察を行ったところ,隆起部分から粘膜下層深部に及ぶ低エコーが描出されたためSM3浸潤癌が疑われた(Fig. 2).内視鏡像からはsm massive浸潤癌を疑わせる所見が認められないため,ブドウ糖液の局注を試みたところ,病変は容易に挙上され,sm massive浸潤を示唆する"non-lifting sign"は陰性であった(Fig. 3).
そこで引き続いて内視鏡的切除を行った.組織学的所見は腺管腺腫であり,粘膜下層には限局した線維組織の増生が観察された(Fig. 4a~c).
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