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書評「分子生物学・免疫学 キーワード辞典」
高橋 徹
1
1東京国際大学
pp.970
発行日 1995年6月25日
Published Date 1995/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105465
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このような辞典が欲しいと,かねがね思い続けてきた.この四半世紀,分子生物学・免疫学の発展には目覚ましいものがあり,医学の諸領域はその著しい影響を受けつつある.評者が携わる精神医学の分野も例外ではなく,例えば精神分裂病や痴呆の成因探求や治療法の開発にかかわる様々な分子生物学的研究が近年にわかに活発になり,その成果のいくつかが精神医学研究の最先端のトピックスとして注目を浴びはじめているのもその表れと言える.
しかし,注目することと理解することとは同じではない.理解したい思いがいくら強くとも,分子生物学や免疫学のような日進月歩の領域で起こっている事柄を理解することは,それらを特に専門とはしない人々にとっては,今日増々難しくなってしまっている.第一,それらの領域で日々つくられ活用されている用語の意味内容を調べるだけでも大変な労力を要するし,そうして個々の用語を調べえても,それらの概念の“組織”が多少とも把握できなければ十分な理解は得られまい.単なる用語辞典はこの領域の門外漢にはあまり役に立たない.のみならず,十分な理解が得られない不全感に苛まれる.
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